2章 境界要素法ソフトの使い方
入力デ-タを短時間で作成したい場合、応力が集中や拡大する部分を解析したい場合、きれつがある場合、結合力や開口変位を与えたい場合、接触境界のある場合などは、この章の境界要素法のソフトが便利である。
この章の境界要素法のソフトと3章の有限要素法のソフトのどちらでも計算できる場合は、一般にこの章の境界要素法のソフトで計算した結果の精度が良い。
ソフトの利用の前に1-3-1項に説明した準備が必要です。
2-1 モデルの作成
図2-1は、柱と梁の構造物に鉛直荷重の作用する問題である。図2-2に示した境界要素を用いたモデルに置き換える場合を例にして、モデルの作成方法を説明する。
1)モデルのタイトル
タイトルを5文字以下の整数で付ける。201とする。
2)ブロック分割
解析対象部分をブロックに分割し、番号を付ける。ブロック①とブロック②とする。ブロックごとに厚さと材質は同じとし、平面応力状態または平面歪状態(1-1-7項参照)とする。
図2-1
3)独立した境界
ブロックごとに、独立した境界に番号を付ける。ブロック①と②はいずれも独立した境界は、外周の1つである。
4)要素の設定
境界を線分の要素に分割する。曲線の境界も短い線分の要素が連続したものに置き換えて近似する。
5)要素の番号
ブロックの順にかつ独立した境界の順に要素に番号を付ける。このとき、1番目のブロックの任意の要素を番号1とし、ブロックの内部が右手にあるような向きで連続した番号にする。
6)接合境界
ブロックの接合部分は、同じ位置で同じ長さの要素を設定し、それぞれのブロックで番号を付ける。ブロック①の要素15、16、17がブロック②の要素31、30、29に接合している。
境界条件
要素27,28 x方向変位0、y方向変位0
要素15,16,17,29,30,31 接合境界
要素1~14,18~26,32~44,46~55 x方向表面力0、y方向表面力0
要素45 x方向表面力0、y方向表面力200kgf/cm(等分布)
注:XYは全体座標、xyは要素の個別座標(図2-3参照)
図2-2 モデル201
7)全体座標の設定
全体座標XYを設定する。
8)要素の個別座標、要素の始点と終点
それぞれの要素に要素の個別座標を設定する。図2-3に示すように実体を下にして、要素の左端を始点、右端を終点と呼び、要素の始点から終点の方向を要素の個別座標のx方向、要素に垂直な上向きの方向を要素の個別座標のy方向とする。
9)内点の設定
ブロック内で応力度と変位の値がほしい位置に内点を設定する。ブロックの順に内点に番号を付ける。
10)境界条件
境界条件は、要素ごとに要素の個別座標のx方向とy方向のそれぞれで、表面力または変位のどちらか一方だけを必ず与える。変位と表面力はどちらも要素上で線形に分布する値(2-8-8項参照)
で表す。このとき、表面力はブロックの全厚さにおける値で表す。
接合境界の要素は、物体力または変位のずれを与える場合(2-8-11項参照)以外は、境界条件は0.0にする。
図2-3 全体座標XYと要素の個別座標xy