Hirai Takayuki

2-2 モデル入力デ-タの作成

2-2 モデル入力デ-タの作成

2-2-1 モデル入力デ-タの数値の並び
表2-1に示すような並びでモデル入力データを作成する。表2-2は図2-2のモデル201の入力データである。表2-1と表2-2の1)~9)に対応して以下に説明している。
1)N10=整数5字枠。タイトル。
N11=整数5字枠。ブロックの数。
N12=整数5字枠。要素の数。
N13=整数5字枠。内点の数。
C14=小数10字枠。無限遠で与える均一なX方向垂直応力度。
C15=小数10字枠。無限遠で与える均一なY方向垂直応力度。
C16=小数10字枠。無限遠で与える均一なXYせん断応力度。
C14~C16は2-8-6項で説明する。
2)N20 =整数5字枠。ブロックの番号順にそれぞれにある内点の
~N29 番号の最大のもの。入れる必要がないものは0とする。
3)番号1のブロックに関するデ-タである。
N30=整数5字枠。そのブロックにある独立した境界の数。
C31=小数10字枠。そのブロックのポアソン比。
C32=小数10字枠。そのブロックのヤング率。
C33=小数10字枠。そのブロックの厚さ。
N34=整数5字枠。そのブロックが平面応力状態(0を入れる)
であるか、平面歪状態(1を入れる)であるかの識別。
C35=小数10字枠。そのブロックが乾燥吸湿または温度変化により自由収縮膨張したとき歪度。
2-8-9項と2-8-10項で説明する。
4)N40 =整数5字枠。そのブロックにある独立した境界の順番に
~N49 要素の番号の最大値。入れる必要がないものは0とする。
5)ブロックの数だけ3)と4)と同様の値がブロックの番号順に入る。
6)番号1の要素に関する値である。
N60=整数5字枠。要素の番号。
N61=整数5字枠。境界条件の種類で次のように0~5を入れる。
x方向表面力とy方向表面力を与えるとき 0
〃 変位   〃 表面力 〃    1
〃 表面力  〃 変位  〃 2
〃 変位   〃 変位  〃 3
接合境界のとき             4
接触境界のとき 5
N62=整数5字枠。接合または接触する相手の要素の番号。接合
境界や接触境界でなく相手の要素がないときは0とする。
C63=小数10字枠。全体座標で表した要素の始点のX座標。
C64=小数10字枠。全体座標で表した要素の始点のY座標。
C65=小数10字枠。境界条件の値を要素の個別座標で線形分布で表したときのx方向始点の値。
C66=小数10字枠。境界条件の値を要素の個別座標で線形分布で表したときのx方向終点の値。
C67=小数10字枠。境界条件の値を要素の個別座標で線形分布で表したときのy方向始点の値。
C68=小数10字枠。境界条件の値を要素の個別座標で線形分布で表したときのy方向終点の値。
C65~C68で表面力を与えるときは、ブロックの全厚さにおける値にする。
7)要素の番号順に6)と同様の値が続く。
8)1番目の内点に関する値である。
N80=整数5字枠。内点の番号。
C81=小数10字枠。全体座標で表した内点のX座標。
C82=小数10字枠。全体座標で表した内点のY座標。
9)内点の総数だけ8)と同様の値が続く。
10)整数5字枠で99999を入れる。デ-タの終わりを示す。

表2-1 入力デ-タの数値の並び
(注:最上行の数字は、数値配列の欄の数で、入力データではない。
各行先頭の1)~10)のは、説明箇所の表示で、入力データではない)

5 10 15 20 30 40 50 55 65 75
1) N10 N11 N12 N13 C14 C15 C16
2) N20 N21 N22 N23 N24 N25 N26 N27 N28 N29
3) N30 C31 C32 C33 N34 C35
4) N40 N41 N42 N43 N44 N45 N46 N47 N48 N49

5) 〃


6) N60 N61 N62 C63 C64 C65 C66 C67 C68

7)          〃

8) N80 C81 C82

9)      〃

10) 99999

表2-2 モデル201の入力デ-タ
(注:各行先頭の1)~10)のは、説明箇所の表示で、入力データではない)

1)  201 2 55 10 0.00000 0.00000 0.00000
2)  5 10 0 0 0 0 0 0 0 0
3)  1 0.20000 220000.00 60.00000 0 0.0000000
4)  28 0 0 0 0 0 0 0 0 0
5)   1 0.20000 230000.00 40.00000 0 0.0000000
55 0 0 0 0 0 0 0 0 0
6)   1 0 0 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
2 0 0 0.00000 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
3 0 0 0.00000 60.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
4 0 0 0.00000 90.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
5 0 0 0.00000 120.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
6 0 0 0.00000 150.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
7 0 0 0.00000 180.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
8 0 0 0.00000 210.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
9 0 0 0.00000 240.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
10 0 0 0.00000 270.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
11 0 0 0.00000 300.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
12 0 0 0.00000 330.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
13 0 0 0.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
14 0 0 30.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
15 4 31 60.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
16 4 30 60.00000 330.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
17 4 29 60.00000 300.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
18 0 0 60.00000 270.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
19 0 0 60.00000 240.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
20 0 0 60.00000 210.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
21 0 0 60.00000 180.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
22 0 0 60.00000 150.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
23 0 0 60.00000 120.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
24 0 0 60.00000 90.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
25 0 0 60.00000 60.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
26 0 0 60.00000 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
27 3 0 60.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
7)  28 3 0 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
29 4 17 60.00000 270.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
30 4 16 60.00000 300.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
31 4 15 60.00000 330.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
32 0 0 60.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
33 0 0 100.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
34 0 0 130.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
35 0 0 160.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
36 0 0 190.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
37 0 0 220.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
38 0 0 250.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
39 0 0 280.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
40 0 0 310.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
41 0 0 340.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
42 0 0 370.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
43 0 0 400.00000 350.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
44 0 0 400.00000 320.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
45 0 0 400.00000 290.00000 0.00000 0.00000 200.00000 200.00000
46 0 0 370.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
47 0 0 340.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
48 0 0 310.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
49 0 0 280.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
50 0 0 250.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
51 0 0 220.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
52 0 0 190.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
53 0 0 160.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
54 0 0 130.00000 284.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
55 0 0 100.00000 278.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
8) 1 0.00000 315.00000
2 15.00000 315.00000
3 30.00000 315.00000
4 45.00000 315.00000
5 60.00000 315.00000
9) 6 235.00000 290.00000
7 235.00000 305.00000
8 235.00000 320.00000
9 235.00000 335.00000
10 235.00000 350.00000
10) 99999

2-2-2 モデル入力デ-タの数値の並びにおける条件
入力デ-タの数値の並びでは、下記の条件を必ず満たすようにする。
・整数は枠内の右に寄せて入れ、右端に空白を残さない。
・小数は枠の左端(先頭)を1字以上空白にする。
・小数は必ず小数点を付ける。
・入れる数がない枠にも整数0または小数0.0を必ず入れる。
・ゼロの小数は0.0を入れる。.0や .にしない。
・最後の行に先頭から99999を入れる。

2-2-3 モデルの限度
モデルに設定できる要素等の数には、次のような限度がある。(サンプルは要素の数が500以下)
要素の数                4000以下
ブロックの数                10以下
1つのブロックに属する独立した境界の数   10以下
内点の数                 400以下
また、使用するパソコンのハ-ドディスクの空き容量の大きさによる制限があり、2-4-1項で説明するように空き容量に納まる要素の数のモデルでないと計算できない。

2-2-4 モデル入力デ-タのファイルの作成方法
推奨する方法
類似の形状のモデルの入力デ-タを編集して書き直す。
極力避ける方法
モデル入力デ-タのすべてをキ-ボ-ドから入力する。
類似のモデル入力デ-タがない場合
類似のモデル入力デ-タを以下に説明するように自動作成し、そのデ-タを編集する。
図2-2のモデル201を例にする。図2-4のようにそれぞれのブロックを基本モデル202と203とする。
1)パソコンをWindowsで起動し、ハ-ドディスク上に自分の作業用に作成したフォルダ(ここでは hirai )の窓を開く。
2)画面のフォルダ hirai の窓の中のI2VDCR.EXEのアイコンをダブルクリックする。
3)画面に新しい窓が開き、表2-3のような表示が上から順に出る。このときアンダーラインを付けた数値の箇所に、?マークが出て表示が一時停止するので、次のア)~ニ)の説明のように基本モデル202の数値をキ-ボ-ドで入力する。表2-3のアンダーラインの箇所はキーボードで入力した値を表示している。
ア)モデルのタイトル。
イ)ブロックにある独立した境界の数。
ウ)最初の要素の始点のX座標。基本モデル202は要素1の始点のX座標。
エ)最初の要素の始点のY座標。基本モデル202は要素1の始点のY座標。
オ)長さの等しい要素が1直線上に続く場合はそれらの要素をとばして、長さが違うかまたは1直線上にない次の要素の始点のX座標。基本モデル202は要素12の始点のX座標。

2_2_1

図2-4(その1) モデル入力デ-タ自動作成のための基本モデル202

2_2_2

図2-4(その2) モデル入力デ-タ自動作成のための基本モデル203

カ)オ)でX座標を入れた要素の始点のY座標。基本モデル202は要素12の始点のY座標。
キ)ウ)の最初の要素からオ)の要素の1つ前の要素までに、長さが同じで1直線上に続いている要素の数。基本モデル202は11。
ク)基本モデル202では、要素12の次に長さの等しい要素が1直線上に続いていないので、次の要素13の始点のX座標。
ケ)基本モデル202では、要素13の始点のY座標。
コ)基本モデル202では、要素12と要素13は長さが違うので、長さが同じで1直線上に続いている要素の数として要素12の1つだけであるので1。
サ)~ニ) ウ)~キ)またはオ)~コ)と同様。

表2-3 モデル入力データ自動作成プログラムI2VDCRを
作動させたときに窓に出る表示。アンダ-ラインの数値はキ-
ボ-ドからの入力。ただしア)~ニ)の文字はCRTに出ない。
なおアンダ-ラインの箇所が改行されて表示される場合がある。

MODEL TITLE = 202                 ア)
TOTAL NUMBER OF EDGE = 1          イ)
EDGE NUMBER = 1
NO. 1 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 0.0  ウ)
COORDINATE Y = 0.0  エ)
NO. 2 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 0.0  オ)
COORDINATE Y = 330.0 カ)
DIVIDE NUMBER = 11        キ)
NO. 3 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 0.0  ク)
COORDINATE Y = 350.0 ケ)
DIVIDE NUMBER = 1         コ)
NO. 4 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 60.0 サ)
COORDINATE Y = 350.0 シ)
DIVIDE NUMBER = 2         ス)
NO. 5 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 60.0 セ)
COORDINATE Y = 330.0 ソ)
DIVIDE NUMBER = 1         タ)
NO. 6 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 60.0 チ)
COORDINATE Y = 0.0 ツ)
DIVIDE NUMBER = 11        テ)
NO. 7 FUNDAMENTAL JOINT COORDINATE X = 0.0  ト)
COORDINATE Y = 0.0  ナ)
DIVIDE NUMBER = 2         ニ)
ニ)最初に入れた要素の始点の座標と同じ座標が入力されたときに、境界は一巡したことになり、独立した境界の数が1つのときはここでキ-ボ-ドによる入力は終了する。独立した境界の数が2つ以上ある場合は、イ)で入力した独立した境界の数だけウ)~ニ)を繰り返す。
4)キーボードからの入力が終ると、作成されたモデル入力データが窓に表示され、同時にフォルダ hirai のファイルDDに収納される。
5)ファイルDDの名前をDAに変更する。
6)2)~4)と同様に、図2-4の基本モデル203の入力デ-タを入れたファイルDDを作成する。
7)ファイルDDの名前をDBに変更する。
8)画面のフォルダ hirai の窓の中のI2VDSY.EXEのアイコンをダブルクリックする。
9)短時間で基本モデルの合成が終わり、合成された入力データはフォルダ hirai の中のファイルDDに収納される。
基本モデルを3つ以上合成する場合は、はじめ2つの基本モデルの入力デ-タを合成した入力デ-タをファイルDAに入れ、次の基本モデルの入力データをファイルDBに入れて、8)を繰り返す。
10)自動作成された入力データは、次の所にとりあえず何かの値を入れているので、編集して修正する。
・タイトル(表2-1のN10)
・無限領域問題で与える応力度(表2-1のC14~C16)
・内点に関する値(表2-1のN13、N20~N29、N80、C81,C82)
・ブロックごとのポアソン比、ヤング率、厚さ、平面応力状態か平面歪状態か、温度変化や乾燥収縮の歪度(表2-1のC31、C32、C33、N34、C35)
・要素ごとの境界条件の種類(表2-1のN61)
・要素ごとの境界条件の値(表2-1のC65~C68)
自動作成したモデル202と203の入力デ-タのファイルM202とM203、およびこれらを合成したのち必要な箇所を修正して作成したモデル201の入力デ-タのファイルM201を①ディスク9791に収納している。

2-2-5 モデル入力デ-タの誤りの検出
モデル入力デ-タには多量の数値が並んでいるので、誤りを直接見つけられるのは、要素数や節点数などの基本的な数値である。要素の節点の番号の並びや節点の座標の間違いを直接探すのは無理で、これらは次の1)または2)の方法で検出する。
1)モデル入力デ-タの図形表示による方法
2-3節に説明する方法でモデル入力デ-タを図形表示し、要素の形状がおかしい箇所や境界条件で与えた節点の変位や節点力がおかしい箇所を図形から見つける。
図形表示の過程で、モデル入力デ-タの数値が区切りを付けて窓に表示されるので、区切りごとに必要な行数に対するデ-タの過不足を調べることも有効である。
2)節点の変位と節点力の計算による方法
2-4節に説明する方法で節点の変位と節点力を計算し、ファイルR1に入っている計算結果の出力デ-タの最後に示されるNCRの値から、表2-6により計算過程の異常の原因を調べる。また、途中まで計算が行われた場合は、要素の長さと方向が出力されているので、それらが妥当な値になっていない要素を見つければ、その要素の節点番号や節点の座標が間違っていることになる。

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