Hirai Takayuki

2-4 要素の変位と表面力の計算

2-4 要素の変位と表面力の計算

2-4-1 要素の変位と表面力の計算手順
1)パソコンをWindowsで起動し、ハ-ドディスク上に自分の作業用に作成したフォルダ(ここでは hirai )の窓を開く。
2)フォルダ hirai にモデル入力デ-タのファイルをコピ-し、そのファイルの名前をDDとする。
3)フォルダ hirai の窓の中の次のアイコンから、モデルの要素数より 大きい数の名前(例えば I2V500 は 500 がその数)を1つ選んでダブルクリックする。どのアイコンを選んでも計算結果は同一になる。
I2V500.EXE I2V1000.EXE I2V2000.EXE I2V3000.EXE I2V4000.EXE
4)窓が開き計算の進行程度の表示が出て短時間で計算を終了し、計算結果はフォルダ中のR1の名前のファイルに収納され、窓が閉じる。
5)新たな窓が開きメモリ不足の表示が出る場合は、3)でより小さい数(ただしモデルの節点数より大きい)の名前のアイコンを選ぶ。
6)どうしてもメモリ不足の表示が出る場合と、メモリ不足を起こさないどのアイコンを選んでも、計算が途中で終了する場合は、次のいずれかの方法で計算する。
・パソコン上で動かしている他のソフトを中止する。
・節点数を減らしたモデルにする。
・ハ-ドディスク容量の大きいパソコンを用いる。

表2-5 モデル201の計算結果
(注:各行の先頭の1)~11)は説明の表示で、データには含まれない。
データはディスク9791のファイルRM201に収納している)

1)  MODEL 201 —- SOLUTION BY I2V500 —-

2) BLOCK 2 BOUNDARY ELEMENT 55 INNER POINT 10 INITIAL STRESS X-Y-XY 0.00000 0.00000 0.00000
LAST NO. OF INNER POINTS IN EACH BLOCK 5 10 0 0 0 0 0 0 0 0

3) BLOCK NO. 1 EDGE 1 POISSON’S RATIO 0.20000 YOUNG’S MODULUS 0.2200000e+06 THICKNESS 60.00000 IP(I) 0
INITIAL STRAIN 0.0000000
LAST NO. OF BOUNDARY ELEMENTS ON EACH EDGE 28 0 0 0 0 0 0 0 0 0

4)BLOCK NO. 2 EDGE 1 POISSON’S RATIO 0.20000 YOUNG’S MODULUS 0.2300000e+06 THICKNESS 40.00000 IP(I) 0
INITIAL STRAIN 0.0000000
LAST NO. OF BOUNDARY ELEMENTS ON EACH EDGE 55 0 0 0 0 0 0 0 0 0

5) BLOCK NO. 1 EDGE NO. 1 BOUNDARY ELEMENTS 1 – 28
M NO. MM MD X Y   BOUNDARY VALUES; X-LEFT X-RIGHT Y-LEFT Y-RIGHT LENGTH DIRECTION
2 1 0 0 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 90.0
0 2 0 0 0.00000 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 90.0
0 3 0 0 0.00000 60.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 90.0

・・・・・・・・・・・・・ 省略 ・・・・・・・・・・・・・

1 26 0 0 60.00000 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 -90.0
2 27 3 0 60.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 180.0
1 28 3 0 30.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 180.0

6) BLOCK NO. 2 EDGE NO. 1 BOUNDARY ELEMENTS 29 – 55
M NO. MM MD X Y BOUNDARY VALUES; X-LEFT X-RIGHT Y-LEFT Y-RIGHT LENGTH DIRECTION
2 29 4 17 60.00000 270.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 90.0
0 30 4 16 60.00000 300.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.000000 90.0
1 31 4 15 60.00000 330.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 20.000000 90.0

・・・・・・・・・・・・・ 省略 ・・・・・・・・・・・・・

0 53 0 0 160.00000 290.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.594116 -168.7
0 54 0 0 130.00000 284.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 30.594116 -168.7
1 55 0 0 100.00000 278.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 40.792156 -168.7

7) WEIGHTS OF FUNDAMENTAL SOLUTIONS; ELEMENT NO. X-LEFT X-RIGHT Y-LEFT Y-RIGHT
1 3338.05 770.09 13940.63 16016.88 2 859.97 1884.17 15826.61 14852.39
3 1670.42 3012.58 14903.98 13865.45 4 2785.82 4154.52 13923.49 12703.64

・・・・・・・・・・・・・ 省略 ・・・・・・・・・・・・・

53 5904.10 7646.20 -15158.03 -19728.45 54 7672.50 7517.80 -19531.11 -24904.15
55 7106.97 16611.92 -24282.72 -47124.04

8) BOUNDARY ELEMENTS
M NO. MM MD X Y TRACTIONS; X-LEFT X-RIGHT Y-LEFT Y-RIGHT DISPLACEMENTS; X-LEFT X-RIGHT Y-LEFT Y-RIGHT
2 1 0 0 0.00000 15.00000 0.018 0.000 0.031 0.045 0.17455e-03 0.81829e-02 0.25496e-03 -0.42799e-02
0 2 0 0 0.00000 45.00000 -0.003 -0.008 0.028 0.016 0.81538e-02 0.16437e-01 -0.41364e-02 -0.16832e-01
0 3 0 0 0.00000 75.00000 -0.005 -0.005 -0.004 0.012 0.16371e-01 0.24618e-01 -0.16819e-01 -0.37929e-01

・・・・・・・・・・・・・ 省略 ・・・・・・・・・・・・・

0 53 0 0 145.00000 287.00000 -0.003 -0.006 0.001 0.001 -0.29152e+00 -0.29925e+00 0.46695e+00 0.36434e+00
0 54 0 0 115.00000 281.00000 -0.003 -0.001 0.002 0.009 -0.29897e+00 -0.30618e+00 0.36431e+00 0.26782e+00
1 55 0 0 80.00000 274.00000 0.002 -0.008 0.007 0.001 -0.30568e+00 -0.31417e+00 0.26833e+00 0.14467e+00

9) INNER POINTS
ANGLE IS THE DIRECTION OF THE PRINCIPAL STRESS H1
NO. X Y PRINCIPAL STRESSES H1 H2 H3 ANGLE STRESSES X Y XY DISPLACEMENTS X Y
1 0.00000 315.00000 13.07 -2.48 7.77 83.62 -2.29 12.87 1.72 0.46437e+00 0.80780e-01
2 15.00000 315.00000 16.01 -5.80 10.91 58.11 0.29 9.92 9.78 0.46412e+00 0.39356e-01
3 30.00000 315.00000 15.05 -10.24 12.65 42.85 3.35 1.46 12.61 0.46416e+00 -0.13114e-02

・・・・・・・・・・・・・ 省略 ・・・・・・・・・・・・・

8 235.00000 320.00000 3.81 -3.82 3.82 -45.16 -0.03 0.01 -3.82 0.48266e+00 -0.68811e+00
9 235.00000 335.00000 19.48 -0.42 9.95 -8.51 19.04 0.02 -2.91 0.54315e+00 -0.68822e+00
10 235.00000 350.00000 38.53 -0.21 19.37 -0.43 38.53 -0.21 -0.29 0.60391e+00 -0.68860e+00

10) NCR = 0 ILL = 0

11) FORCE BALANCE +X TRA. -X TRA. X REG. X REG/TRA +Y TRA. -Y TRA. Y REG. Y REG/TRA
BLOCK NO. 1 33933.969 -34228.188 -294.219 0.009 68073.328 -67936.797 136.531 0.002
BLOCK NO. 2 33877.598 -33780.004 97.594 0.003 16482.014 -16365.584 116.430 0.007
TOTAL 67811.563 -68008.18 -196.625 0.003 84555.344 -84302.383 252.961 0.003

2-4-2 計算結果の見方
図2-2のモデル201の計算結果である表2-5を例にして、表に記入した1)~11)の表示に対応して以下に説明する。
1)モデルに付けたタイトルと、用いたプログラムの名前。
2)1行目は先頭から、ブロックの数、要素の総数、内点の総数、無限領域の場合に無限遠で与える均一な応力度の値。
2行目は、ブロックの順にブロックにある内点の番号の最大の値。
3)1番目のブロックに関する値である。
1行目は先頭から、ブロックの番号、独立した境界の数、ポアソン比、ヤング率、厚さ、平面応力状態IP(I)=0と平面ひずみ状  態IP(I)=1の区別。
2行目は、乾燥収縮吸湿膨張または温度変化を計算する場合にそのブロックに与えた均一の歪度。
3行目は、そのブロックにある独立した境界の順に要素の番号の最大の値。
4)2番目のブロックに関する3)と同じ内容。
5)1番目のブロックの1番目の独立した境界の要素の入力データ。
1行目は、ブロックの番号、独立した境界の番号、要素の番号の始りと終り。
2行目はコメント文。
3行目以降は、各行が1つの要素に関するデータであり、先頭から
順に要素の種類(計算過程で用いた値で2-9節で説明する)、要素の番号、境界条件の種類、接合または接触する場合の相手の要素の番号、要素の始点のX座標、Y座標、境界条件で与えた線形分布で表した表面力または変位のx方向始点の値、x方向終点の値、y方向始点の値、y方向終点の値、要素の長さ、度で表した全体座標における要素の方向(始点から終点の方向)。
ここで、境界条件で与えた表面力は、ブロックの全厚さにおける値であることに注意する。
同じブロックに独立した境界が2つ以上あるときは、同じ内容が独立した境界の数だけ出力される。
6)2番目のブロックに関する5)と同じ内容。
7)計算過程で使われた数値(2-11節に説明する重み荷重)。
1行目はコメント文。
2行目から各行に2組ずつの重み荷重の値。各組はその重み荷重を当てはめた要素の番号、x方向重み荷重の始点の値、x方向重み荷重の終点の値、y方向重み荷重の始点の値、y方向重み荷重の終点の値。
8)ここから要素の変位と表面力の計算結果である。
1、2行目はコメント文。
3行目以降は、各行が1つの要素に関する計算結果であり、先頭から、要素の種類(2-9節と2-11節に説明)、要素の番号、境界条件の種類、接合または接触する場合の相手の要素の番号、要素  の中点のX座標、Y座標、線形分布で表した計算結果の表面力のx方向始点の値、x方向終点の値、y方向始点の値、y方向終点の値、線形分布で表した計算結果の変位のx方向始点の値、x方向終点の値、y方向始点の値、y方向終点の値。
ここで表面力は、ブロックの全厚さにおける値である。
これらの計算結果を、後に示す方法で図形表示したものを図2-6~図2-9に示す。
図形表示の意味: 黒線    要素と要素の始点と終点
緑線    変形
赤線    表面力
縮尺    左上のL型の各辺と同じ長さにおける値
9)内点における応力度と変位の計算結果である。
1~3行目はコメント文。
3行目以降は、各行が1つの内点に関する計算結果であり、先頭から、内点の番号、X座標、Y座標、最大の主応力度σ1、最小の主応力度σ2、主せん応力度τmax、度で表した最大の主応力度の作用方向、X方向垂直応力度σX、Y方向垂直応力度σY、XYせん断応力度τXY、X方向変位δX、Y方向変位δY。これらはいずれも全体座標で表されている。
最大せん断応力度は、右回りの回転を与えるものが最大の主応力度の作用方向から-45度(法線の方向でなく、面そのものの傾きを表す)の面に作用する。
内点1~5の計算結果の主応力度を、後に示す方法で図形表示したものを図2-10に示す。
10)計算過程の状態を、次のような意味のNCRとILLの2つの整数で表示。
NCR=0のときが正常に終了。
NCR≠0のときは表2-6のような異常がある。
ILL=0のときが正常に終了。
ILL≠0のときは連立方程式を解いている過程で、行を入れ換えてもILLの値の行で枢軸が0になり解が求まらない。剛体変位を起こす境界条件を与えた場合にまれに発生するときがあるが、一般にモデル入力デ-タのミスが原因である。
11)計算結果の表面力の釣り合いの検算。各ブロックごとに、+X方向の表面力の合計 +X TRA、-X方向の表面力の合計 -X TRA、+X方向と-X方向の差 X REG、±X TRA の絶対値の大きいものに対する X REG の割合 X REG/TRA、+Y方向の表面力の合計 +Y TRA、-Y方向の表面力の合計 -Y TRA、+Y方向と-Y方向の差 Y REG、±Y TRA の絶対値の大きいものに対する Y REG の割合 Y REG/TRAが1行ごとに出る。最後の行にこれらの値のブロック全部の合計が出る。X REG/TRA と Y REG/TRA が小さいほど誤差が小さい。
12)ポアソン比が平面応力状態で0.33以上または平面ひずみ状態で0.25以上の場合は、まれに計算結果に大きな誤差を含むことがあるので、精度のチェックが必要であることの警告を最後に表示する。表2-5には出ていない。

表2-6 計算過程の状態を表すNCRの値の意味
NCRの値     内容
0    正常に終了。
1~4000 その番号の要素と同じ座標の要素がある
9000 ブロックの数が10を越えた
9100 ブロックの厚さが異常
9200 ブロックのヤング率が異常
9300 ブロックのポアソン比が平面応力状態で1.0以上、
平面歪状態で0.5以上で不合理
9400    ブロックの独立した境界の数が10を越えた
9500 内点の数が400を越えた
9600 要素の数が限度を越えた。
9700 要素の入力デ-タが不足
9800 内点の入力デ-タが不足

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図2-6  ブロック1の要素に垂直な表面力の計算結果

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図2-7 ブロック1の要素に平行な表面力の計算結果

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図2-8 全部の要素に垂直な表面力の計算結果(接合境界にある要素の所が重複している)

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図2-9 全部の要素の変形

2_4_5

図2-10 内点1~5の主応力度

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