Hirai Takayuki

2-9 要素の種類を指定した計算方法

2-9 要素の種類を指定した計算方法

 

通常は要素の種類を指定しないモデルで計算する。その計算結果の誤差が大きい場合に、ここで説明する要素の種類を指定した計算方法を用いる。表面力が不連続な分布をしている問題などは、要素の種類を指定した計算により誤差が小さくなる場合が多い。

 

2-9-1 要素の種類とは

2-11節で説明するように、通常は無限平板の理論解を基本解に用いて計算しているが、半無限平板の理論解を加えて、無限平板と半無限平板の理論解の両方を用いて計算できる。要素の種類は、この理論解の種類を表している。

 

2-9-2 要素の種類を指定できる要素

要素の延長線がその要素の属するブロックを切断しない要素は、要素の種類を指定して計算することができる。もちろん、これらの要素は、要素の種類を指定しないで計算することもできる。

要素の延長線がその要素が属するブロックを切断する要素は、要素の種類を指定して計算することができない。

要素の種類を指定しない場合は、計算の過程で自動的に要素の種類が決められる。

例えば図2-20のモデル212の場合は、中央にある円孔に設定した要素は、その要素を延長した直線がブロックを切断するので、要素の種類を指定することができない。中央の円孔以外の要素は、いずれも延長線が要素の属するブロックを切断しないので、要素の種類を指定する、指定しないのいずれでもよい。

 

2-9-3 要素の種類を指定したモデル入力デ-タの作成方法

まず要素の種類を指定しない通常のモデル入力デ-タで一度計算し、計算結果の要素の種類の値(表2-5の8)の先頭の値)が0,1,2のいずれになっているかを調べる。0になった要素は、モデル入力デ-タの要素番号の表2-1の6)と7)のN60の数値の先頭の1字に、3を入れ、1になった要素は同じく要素番号の先頭に4を入れ、2になった要素は同じく要素番号の先頭に5を入れる。

通常の計算結果の要素の種類 → 要素の種類を指定できる場合のモデル入力デ-タの要素の種類

0  →  3

1  →  4

2  →  5

例として、モデル201とモデル212について、半無限平板の理論解を用いた要素の種類3~5を使ったモデルの入力デ-タをファイルMM201とMM212に入れている。

 

2-9-4 要素の種類を指定した場合の実行用ファイル

種類を指定した要素のあるモデルは、モデル入力デ-タを図形表示するときの実行用ファイルとして、I2VDCH.EXEでなくI2VDCHM.EXEを使う。その他の実行用ファイルは通常の場合と同じである。

 

 

2-9-5 要素の指定と計算結果の誤差

要素の種類を指定した場合としない場合を、モデル201とモデル212で計算して、計算結果の最後に出力されるX方向とY方向の表面力の誤差の割合を比較すると表2-11になる。モデル201は図2-5のように、右端に下向きの等分布荷重を与えてものであり、等分布荷重が作用する箇所としない箇所の境目で表面力が不連続になっている。モデル212は図2-20のように右端の下向きの表面力が図2-21のように不連続でない分布をしている。モデル201のように表面力が不連続な分布をする問題で、要素の種類を指定したモデルの計算結果の誤差が少ない。

 

表2-11 X、Y方向の釣り合いの誤差の割合

モデル201     モデル212

X方向  Y方向   X方向  Y方向

要素の種類を指定しない  0.00290  0.00230  0.00014  0.00300

要素の種類を指定する     0.00059   0.00013    0.00172   0.00251

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