2-11-1 計算結果は近似の理論解である
出力データの表2-5の7)に示される値で線形に分布する荷重(これを重み荷重と呼ぶ)が、それぞれの要素で図2-33に示すような当てはめ方で作用した場合の無限平板または半無限平板の理論解を求め、それらを重ね合わせて境界条件を近似させたものが計算結果である。
理論解を重ね合わせたものであるから、計算結果は釣合条件と適合条件を満足し境界条件が近似した理論解である。
図2-33 重み荷重の当てはめ方
2-11-2 重み荷重とその当てはめ方
重み荷重とそれを当てはめる要素との位置関係は、図2-33のように重み荷重の分布する線分と要素が一致する場合と、重み荷重の分布する線分の左半分に要素が位置する場合と、重み荷重の分布する線分の右
半分に要素が位置する場合がある。
図2-34は、曲げ応力の作用する問題とそのモデル216である。すべての要素について、重み荷重の作用する線分がちょうど要素に一致するように当てはめた場合は、境界条件を近似するのに必要な重み荷重の値は図2-35になる。図2-36はこれらの重み荷重によって生じる境界上の本来の分布状態の(線形分布に置き換える前の)変位と表面力である。問題に与えられた境界条件に比べて、線形分布に置き換えると誤差は極めて小さいが、このように本来の分布状態ではかなり大きな誤差がある。
重み荷重の作用する線分の半分に要素が位置するように重み荷重を当てはめた場合は、境界条件を近似するのに必要な重み荷重の値は図2-37になる。図2-38はこれらの重み荷重によって生じる境界上の本来の分布状態の(線形分布に置き換える前の)変位と表面力である。図2-36に比べて図2-38は、要素上での分布の状態が極めて良く境界条件に近似している。
このような基本解の当てはめ方を開発したことにより、また基本解の変位の適切な計算式を導いたことにより、計算誤差の小さい汎用性のある数値計算プログラムが得られた。
2-11-3 要素の種類
計算結果に示される要素の種類の値{表2-5の5}と8}の先頭の値}は、図2-33で説明した線形に分布する重み荷重の当てはめ方の種類を表している。
通常の計算では、無限平板の理論解を用いた要素の種類0、1、2を使い、次のようにそれぞれの要素の種類が計算の実行において自動的に決められる。
145度より小さい出隅に終点がある要素の場合 : 要素の種類=1
145度より小さい出隅に始点がある要素の場合 : 〃 =2
他の要素の場合 : 〃 =0
要素の延長線がその要素が属するブロックを切断しないときは、その要素に2-9節で説明したように半無限平板の理論解を当てはめることができる。
図2-34 曲げの作用する問題とそのモデル216
図2-35 重み荷重が作用する線分が要素に一致するように当てはめた場合に境界条件を
近似するのに必要な重み荷重の値
図2-36 重み荷重が作用する線分が要素に一致するように当て はめた場合の境界条件の近似の程度
図2-37 重み荷重が作用する線分の半分に要素があるように当てはめた場合に境界条件を
近似するのに必要な重み荷重の値
図2-38 重み荷重が作用する線分の半分に要素があるように当てはめた場合の境界条件の近似の程度