3-6 要素内の変位と応力度の計算
節点の変位の計算結果から、要素内の任意の位置の変位と応力度を計算するには、この節の方法と、次の3-7節に説明する方法がある。
3-6-1 計算する位置の指定
変位と応力度を計算する位置は、図3-6の左のようにXY座標上の4辺形の要素を、右のようにξη座標上で1辺が2の正方形に変換し、ξη座標で表して指定する。図3-6の節点に付けた1~8の数字は、表3-1と図3-2に示した1つの要素にある8つの節点の順番N31~N38である。例えば節点1(表3-1と図3-2のN31の節点)の位置はξ=-1、η=-1である。
位置の指定は、図3-7に示す3種類のパタ-ンで行うことができる。
図3-6 要素内の位置指定の座標(右は要素の自然座標)
(イ)3×3の格子点 ξとηが -1.0、0.0、1.0 になる組合せの9点。
(ロ)線上の5点 ξ(又はη)に平行な線上でη(又はξ)が-1.0、-0.5、0.0、0.5、1.0 の5点。
(ハ)1点 ξとηが与えられた座標の点。
図3-7 要素内の位置指定の種類
3-6-2 位置指定データのファイルの作成
要素内における変位と応力度を計算する場合に、計算する位置を指定するデータは、表3-9のような数字の並びのファイルとして作成する。このとき3-2-2項のモデル入力デ-タの数値の並びにおける条件を満足させる。そうしないと、計算の実行においてエラ-が出る。表3-10は位置指定の入力データの例である。
表3-9 位置指定データの並び
N1 N2 C3 C4
〃 〃 〃 〃
〃 〃 〃 〃
99999
票3-9の説明。
N1 整数5文字枠(1~5欄)。要素の番号。
N2 整数5文字枠(6~10欄)。
要素の番号のとき N1~N2の番号の要素で、図3-7の(イ)の3×3の格子点を指定する。
8100のとき N1の番号の要素で、図3-7の(ロ)のξ=C3 の線上の5点を指定する。
8010のとき N1の番号の要素で、図3-7の(ロ)のη=C4 の線上の5点を指定する。
8000のとき N1の番号の要素で、図3-7の(ハ)のξ=C3、η=C4 の点を指定する。
C3 小数10文字枠(11~20欄)。ξの値。
C4 小数10文字枠(21~30欄)。ηの値。
99999 デ-タの終わりを示すために最後の行の先頭5文字(1~5欄)に入れる。
表3-10 位置指定データの並びの例(最後の1)~5)は説明のための付記)
1 3 0.0 0.0 1)
4 8100 1.0 0.0 2)
4 8010 0.0 -1.0 3)
5 8000 0.0 1.0 4)
99999 5)
表3-10の1)~5)の各行は次の意味をもつ。
1)要素1~要素3について、図3-7の(イ)の9点。
2)要素4のξ=1.0 の線上で、図3-7の(ロ)の5点。
3)要素4のη=-1.0 の線上で、図3-7の(ロ)の5点。
4)要素5のξ=0.0、η=1.0 の点で、図3-7の(ハ)の1点。
5)デ-タの終わりを示す99999。
3-6-3 要素内の変位と応力度の計算の実行
以下の1)~5)の手順で行う。なおパソコンの操作は、1-2節を参照。
1)パソコンをWindowsで起動し、ハ-ドディスク上に自分の作業用に作成したフォルダ(ここでは hirai )の窓を開く。
2)フォルダ hirai に節点の変位と節点力の計算結果のファイルをコピ-し、そのファイルの名前をR1とする。
3)フォルダ hirai に3-6-2項で説明した位置指定デ-タのファイルをコピ-し、そのファイルの名前をD1とする。
4)画面のフォルダ hirai の窓の中のF2DSD.EXEのアイコンをダブルクリックする。
5)計算の実行の進行程度の表示が画面に出て、ごく短時間で計算が終了し、計算結果はフォルダのファイルSDに収納されている。
3-6-4 要素内の変位と応力度の計算結果の見方
ファイルSDに出力された計算結果には、入力デ-タの一部が表示された後、位置指定データで指定したそれぞれの点における次の値が1行ごとに出力されている。
X座標、Y座標、X方向変位、Y方向変位、最大の主応力度、最小の主応力度、最大せん断応力度、最大の主応力度の作用方向、X方向垂直応力度、Y方向垂直応力度、XYせん断応力度。
最後に計算過程の異常を知らせるIRRの値が出る。IRRが0のとき正常に計算が終了したことを表す。