Hirai Takayuki

3-9 単精度計算

3-9 単精度計算

 

3-9-1 単精度による計算方法

モデル入力デ-タから節点の変位と節点力を計算するには、3-4節で説明したように F2D1000.EXE ~ F2D8000.EXE のファイルを用いるが、これらのファイルは、有効数字を倍精度としている。有効数字を単精度にすると、数字の有効な桁数が小さくなるので、同じモデルを容量の小さいパソコンを使って計算することができる。ただし、有効数字の桁数に起因して計算結果に含まれる誤差が大きくなる。

単精度による計算は、F2V1000.EXE~F2V8000.EXE のファイルを用いて、それぞれ F2D1000.EXE ~ F2D8000.EXE のファイルと同じ方法で行う。

倍精度による計算       単精度による計算

F2D1000.EXE  ←→  F2V1000.EXE

F2D2000.EXE  ←→  F2V2000.EXE

F2D4000.EXE  ←→  F2V4000.EXE

F2D6000.EXE  ←→  F2V6000.EXE

F2D8000.EXE  ←→  F2V8000.EXE

その他の入力デ-タの作成や図形処理などのファイルの使用方法は、同じである。

3-9-2 単精度計算で誤差の出やすい問題

図3-24は、先端に荷重の作用する片持ち梁である。左端の辺上の節点のX方向変位を0とし、A点の節点のY方向変位を0とし、B点のY方向節点力を-100とした条件を与え、高さHに対して長さLを変えて種々の要素分割のモデルを設定する。

単精度計算の F2V1000.EXE~F2V8000.EXE のファイルで計算した結果のA点のY方向節点力は、図3-25のRの値になる。A点のY方向節点力は100が誤差のない値であるが、図3-25のように誤差が含まれる。誤差は、L=5Hまでは小さいが、L=10Hになると少し大きくなり、L=20Hになるとかなり大きくなる。

 

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3-24 先端荷重の作用する片持ち梁

 

 

 

 

このように細長い形状で、長さ方向に垂直にせん断荷重が作用する問題は、単精度の F2V1000.EXE~F2V8000.EXE のファイルで計算すると、誤差が大きくなることに注意しなければならない。この条件に当てはまらないような問題は、モデルの設定を適切に行えば、単精度の F2V1000.EXE~F2V8000.EXE のファイルでも誤差の小さい計算結果を得ることが できる。パソコンの容量が十分あるときは精度に優れた倍精度の F2D1000.EXE~F2D8000.EXE のファイルで計算する。

なお、図10-14のモデルを倍精度の F2D1000.EXE~F2D8000.EXE のファイルで計算すると、図3-25のRの値に示したY方向節点力は、いずれのモデルでも100.0になり誤差が極めて小さい。

 

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図3-25 先端荷重の片持ち梁の反力Rの単精度による計算結果

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