７）耐久性に関連した研究

 

７）　耐久性に関連した研究

 

７－１　　モルタルの接着強度に関する研究

大分県の北部に新築された小学校の校舎で、モルタル下地の塗装仕上げに起きた劣化の問題を調査する機会があった。このとき、モルタル塗りの施工時や施工直後に当たる風や乾燥の影響が大きいのではないかと思ったことがきっかけで、モルタルの接着強度について研究した。

コンクリート壁面に塗りつけたモルタルは、施工時に風が当たると強度が低くなり、その程度は風速や風の当たる時間や時期に影響されることを試験で明らかにした。またモルタルに保水剤を混和したときの改善効果を試験により明らかにした。

硬化後のモルタルの組織を走査型電子顕微鏡で観察すれば、モルタルの塗り付け施工時に当たる風の影響が分かるのではないかと試験したが、セメント水和物の結晶の成長の差異は明確にはつかめなかった。

　研究成果

252  おばけが水を撒く　   昭和６１年    建築仕上技術　

８６年１２月号１２月        Ｐ２０ー２１　著者：平居孝之

 

101　モルタル塗り用吸水調整材に関する研究－給水調整材塗布界面の挙動についてー 

平成４年    日本建築仕上学会１９９２年９月       大会、（著者　小笠原和博、平居孝之、網本浩二）

 

84　モルタルの接着強度に及ぼす風の影響  

平成７年８月　  日本建築学会大会学術講演梗 概集Ａ、PP667-668 著者：平居孝之

 

79　モルタルの接着強に及ぼす風の影響に関する基礎的研究

平成８年 １月　  日本建築学会構造系論文報告集、Ｎｏ．４７９、（著者　平居孝之、 村上聖、小笠原和博、阿部宏）pp7-12

 

73　養生中に当る風がモルタルの接着強度に及ぼす影 響

平成８年９月  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ、PP843-844、（著者 松田忠広、平居孝之、阿部宏）

 

@@  セメントモルタル塗り用吸水調整材の接着機構に関する研究

平成９年５月　　第５１回セメント技術大会講演要旨集Ｐ３４－３５、（著者　阿部宏、平居孝之、本橋健司）

 

65  風速と風の当る時期がモルタルの接着強度に及ぼす影響

平成９年９月　　日本建築学会大会学術講演梗概集PP667-668,（著者　小田哲史、平居孝之、松田忠広、福田亮治）

 

64  モルタルのドライアウト抑制に関する基礎的研究

平成９年９月　　日本建築学会大会学術講演梗概集PP669-670,（著者  平居孝之、松田忠広、阿部宏）

 

281　セメントモルタル塗り用吸水調整材の接着機構に関する研究

平成９年１２月   セメントコンクリ－ト論文集、No.51, (著者　阿部宏、平居孝之、本橋健司）pp62-67

 

311　ADHESION MECHANISM　REPORTS OF THE FACULTY OF 　 OF PRIMER APPLIED FOR 

ENGINEERING OITA UNIVERSITY,

FINISH COAT MORTAR 平成１０年９月 No.38,1998,9,PP43-48（著者 Hiroshi ABE, Takayuki HIRAI, Kenji MOTOHASHI）

 

239  ポリマ－セメント系接着材によるモルタル塗り継ぎの接着性に関する 研究

平成１０年　      １０月 　セメントコンクリ－ト論文集、No.52,（著者、阿部宏、丸一俊雄、 平居孝之） pp864-870

 

24　ドライアウトによるモルタルの接着強度の低下に 関する研究

平成１４年３月　　日本建築学会九州支部研究報告第41号  pp209-2121、（著者　松田忠広、平居孝之、佐藤嘉昭、大谷俊浩、清原千鶴）

 

@@　モルタルの接着強度に及ぼす風の影響に関する研究

平成１４年５月 第５６回セメント技術大会、著者　松田忠広、平居孝之、佐藤嘉昭、大谷俊浩)

 

313  ドライアウトによるモルタルの接着強度の低下に関する研究

平成１４年１０月　Cement Science and ConcreteTechnology, No.56, 2002,pp134-139（著者　松田忠広、平居孝之、佐藤嘉昭、大谷俊浩）

７－２　タイルの剥離防止に関する研究

建築物の外壁の仕上に使われたタイルが剥離落下して歩行者を傷つける問題が取りざたされており、開発した個体の変形と応力の数値計算ソフトを使えば、この現象の解明ができるのではないかと思って研究した。

　モルタルで貼付けたタイルの剥離は、日々の温度変化による下地との伸縮の差が原因で起きることを、数値計算により明らかにした。深目地のときに、タイル剥離が発生し易いことは、明確に数値計算結果に出た。また、乾燥収縮の影響や、裏足の効果についても調べた。

　研究成果

112　タイルの貼り付け面の温度応力の解析（その１解析方法）

平成３年９月　  日本建築学会大会学術講演梗 概集Ａ  著者　平居孝之

 

111  タイルの貼り付け面の温度応力の解析（その２解析結果）

平成３年９月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　中瀬弘、平居孝之）

 

106　タイル張りの剥離に関する研究その１タイル裏足における応力の解析

平成４年８月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　三浦淳也、平居孝之, 小笠原和博、川辺伸二）

 

105　タイル張りの剥離に関する研究その２乾燥収縮によるきれつの解析

平成４年８月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　中瀬弘、平居孝之,小笠原和博、網本浩二）

 

104　タイル張りの剥離に関する研究その３タイル寸法 と乾燥収縮応力の解析

平成４年８月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　小笠原和博、平居孝之,小野木貴宏、川辺伸二）

 

103　タイル張りの剥離に関する研究その４タイル寸法による温度応力の解析

平成４年８月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　小野木貴宏、平居孝之,小笠原和博、網本浩二）

 

98　外装タイルの剥離に防止に関する解析的研究その１裏足位置と乾燥収縮きれつ

平成５年９月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　中瀬弘、 平居孝之、小笠原和博）Ｐ３２５－３２６

 

97　外装タイルの剥離に防止に関する解析的研究その２乾燥収縮きれつ発生後の温度応力と変形

平成５年９月 日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　小野木貴宏、平居孝之、網本浩二、林俊宏）ｐ３２７－３２８

 

96　外装タイルの剥離に防止に関する解析的研究その３下地の種類とタイルの線膨張係数

平成５年９月　　日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　網本浩二、平居孝之、小野木貴宏、三浦淳也）Ｐ３２９－３３０

 

95　外装タイルの剥離に防止に関する解析的研究その４裏足栓接合  

平成５年９月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　三浦淳也、平居孝之）Ｐ３３１－３３２

 

94　外装タイルの剥離に防止に関する解析的研究その５タイルの形状

平成５年９月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　平居孝之） Ｐ３３３－３３４

 

90　タイル裏足部分の応力の３次元解析

平成６年３月　  日本建築学会九州支部研究報告集１９９３年度、第３４回、（著者　平居孝之、小笠原和博、三浦淳也）Ｐ９７－１００

 

83　外装タイルの接着強度に及ぼす風の影響

平成７年８月　日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ、PP693-694、（著者 松田忠広、平居孝之）

 

82 　外装タイルの接合面の３次元解析

平成７年８月　  日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ、PP695-696、（著者 渡辺斉、平居孝之、小笠原和博）

 

67  タイル先付けプレストレストコンクリ－トパネルの暴露試験

平成９年９月　　日本建築学会大会学術講演梗概集PP459-460,（著者　松田司、平居孝之、黒野薫、

福田亮治）

７－３　　鉄筋の防錆に関する研究

資源の制約から海砂がコンクリートの細骨材に使われるようになって、含まれる塩分が鉄筋を錆びさせ鉄筋コンクリート構造物の耐久性を著しく低下させるという問題が出てきた。亜硝酸イオンをコンクリート中に入れて、塩分による鉄筋の発錆を抑制する方法が提案されており、この方法に関して、建設時に海砂を使ったために塩分を含んでいる鉄筋コンクリートの既存構造物に亜硝酸カルシュウムを塗布し、亜硝酸イオンがコンクリート内部に到達する様子を試験して調べ、その防錆の効果に関して試験した。

研究成果

@@　塗布工法によるコンクリート用無機系防錆剤の防錆効果   昭和６１年５月    第４０回セメント技術大会講演要旨、Ｐ２４０－２４１ （著者　村上聖、甲斐武久）

 

@@　塗布工法によるコンクリート用無機系防錆剤の浸透性

昭和６１年５月     第４０回セメント技術大会講演要旨、Ｐ２４２－２４３ （著者　村上聖、甲斐武久）

 

241　コンクリート用塗布型浸透性防錆剤の浸透性と防錆効果について

昭和６１年８月  建築仕上技術　８６年８月号  Ｐ７２－７７ （著者　平居孝之、伊部博）

 

269　塗布工法によるコンクリート用無機系防錆剤の防錆効果

昭和６１年１２月 　セメント技術年報４０、(著者、村上聖、平居孝之、甲斐武久） pp439-442

 

267　Rust Preventing Effect of an Inorganic Corrosion Inhibitor for Concrete by Brush Application

昭和６１年１２月　 CAJ Review of The 40th General Meeting/ Technical Session

(著者、村上聖、平居孝之、甲斐武久)pp354-357

 

268　塗布工法によるコンクリート用無機系防錆剤の浸透性

昭和６１年１２月　　 セメント技術年報４０、 (著者、平居孝之、村上聖、甲斐武久） pp443-446

 

266　Permeability of an Inorganic Corrosion Inhibitor for Concrete by Brush Application

昭和６１年 １２月　　 CAJ Review of The 40th General Meeting / Technical Session

（著者、平居孝之、村上聖、甲斐武久）pp358-361

 

148　既存ＲＣ構造物のコンクリート表面への防錆剤塗布工法による鉄筋の防錆に関する研究

昭和６２年１０月 日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ、Ｐ２９５（著者　平居孝之、村上聖、渡辺和彦）

 

265　ON PERMEABILITY AND RUST PREVENTING EFFECT OF A CORROSION INHIBITOR BY BRUSH APPLICATION

昭和６２年１１月 　　THE 4TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON DURABILITY OF BUILDING MATERIALS AND COMPONENTS,SINGAPORE, PROCEEDINGS VOLUMEⅡ,P631-637,（著者　平居孝之、伊部博、原謙治、越川松宏）

 

280　A study on Corrosion Control of Reinforcing Steel in Concrete Containing Salt 

平成３年３月 　 REPORT OF THE RESEARCH LABORATORY OF ENGINEERING MATERIALS, TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY, Number 16, 1991 （著者　平居孝之、伊部博） PP189-195

 

335　腐食抑制剤の塗布工法に関する研究－既設ＲＣ構造物に適用して５年間の浸透性確認結果－

平成３年５月  第４５回セメント技術大会  （著者　斉藤仁、越川松宏）

 

110　防錆剤塗布工法による既存ＲＣ構造物の鉄筋腐食抑制に関する研究（塗布５年目の試験結果）

平成３年９月　 日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　園田耕作、平居孝之、村上聖、伊部博）

 

89　塗布型防錆剤の既存ＲＣ構造物への浸透濃度　

平成６年９月　 日本建築学会大会学術講演梗概集Ａ（著者　林俊宏、平居孝之、村上聖、伊部博）Ｐ１６９－１７０

 

@@　鉄筋コンクリ－ト防錆工法「ＡＲ防錆工法」

平成７年４月　日本建築センタ－建築施工技術・技術審査証明報告書

（著者　平居孝之、岸谷孝一、矢内泰弘、釜谷智弘、小豆畑達哉）

 

７－４　南極昭和基地で使われたコンクリートの耐久性に関する研究

国立極地研究所専門委員会委員をしていたときに、研究成果に示すような南極昭和基地の居住施設に関する研究に参加した。

研究成果

237　アルミナセメントを中心とした基礎コンクリ－トの分析

平成１１年３月　　国立極地研究所シンポジウム論文集、南極昭和基地居住施設の耐久性、1999,3,pp81-84

（著者　大井良典、平居孝之、三嶋清敬、内藤正昭）

 

236  基礎コンクリ－トの強度と中性化

平成１１年 ３月　　国立極地研究所シンポジウム論文集、南極昭和基地居住施設の耐久性、1999,3,pp85-94

（著者　内藤正昭、平居孝之、黒野薫）

 

45  南極昭和基地居住施設の耐久性、基礎コンクリ－トの強度と中性化 　　

平成１１年9月　　日本建築学会大会学術講演梗概集、pp103-104、（著者　阿部剛、内藤正昭、平居孝之、黒野薫）

 

@@  南極昭和基地で２９年間使用されたコンクリ－トの耐久性について

平成１１年 １１月　　第４３回日本大学理工学部学術講演会論文集、pp42-43,

（著者 内藤正昭、平山善吉、平居孝之、大井良典、黒野薫、三嶋清敬）

 

41  極昭和基地第１０居住棟基礎コンクリ－トの耐久性に関する研究

平成１２年３月　日本建築学会研究報告九州支部,pp77-80、（著者　平居孝之、内藤正昭、大谷俊浩）

 

18　南極昭和基地第１０居住棟の基礎コンクリートの調査

平成１４９月　　　国立極地研究所、南極資料、Vol.46, No.2A, pp525-532,,（著者　平居孝之、内藤正昭、大井良典、大谷俊浩、黒野薫）

 

７―５　木造建築物の耐久性に関する研究

阪神淡路大震災が発生した直後に郷里の西宮へ行き、木造家屋がくずれて命を失った人たちが多くいたことを知った。このため、既存の木造建物の構造強度を、建物を破損することなく調べる方法として、ビスを柱などにねじ込み、それを引き抜くときの強度を測定して、柱の木材に残存する強度を調べることができるのではないかと考え、研究を行った。

試験研究の結果、既存木造建物について、非破壊試験方法として使えるビス引抜き強度から、木材の曲げ強度と圧縮強度を推定できると考えた。なお、推定のために換算式の精度を上げることが課題として残っている。

研究成果

58  既存木造住宅の外壁パネル取り付け施工方法と構造強度の評価に関する研究

平成９年１０月　 　日本建築仕上学会研究発表論文集、1997年、PP157-160（著者　平居孝之、伊藤哲也、藤田東一、井上正文）

 

312　木質パネル枠材の残存強度

平成１１年 ３月　　国立極地研究所シンポジウム論文集、南極昭和基地居住施設の耐久性、1999,3,pp61-66

（著者　平居孝之、藤永郁子）

 

46  南極昭和基地居住施設の耐久性木質パネル枠材の残存強度

平成１１年９月　　日本建築学会大会学術講演梗概集、p91-92,　著者　平居孝之

 

43　既存木造建物の外壁改修のためのタイル化粧パネルの取り付け強度に関する研究

平成１１年１１月　　日本建築仕上学会論文報告集、Vol.6, No.3, pp1-4, 1999, 11（著者　平居孝之、藤田東一、大谷俊浩、井上正文）

 

19　南極昭和基地第１０居住棟木質材料の残存強度

平成１４９月　国立極地研究所、南極資料、Vol.46, No.2A, pp481-489,（著者　平居孝之、平山善吉、大谷俊浩、松田忠広）

 

12 　木材のビス引き抜き強度

平成１９年３月　日本建築学会研究報告九州支部研究報告、p41-44、（著者　中村誠一、平居孝之）

 

７－６　建築物の維持保全やリホーム関する研究

　建築の構造部分や仕上げの維持保全やリホームに関連したテーマについて、研究する機会があった。

研究成果

@@　高耐久性外装仕上げ材について

平成４年７月　　極地設営諸分野における共同 研究の成果に関する研究小集会

著者　平居孝之

 

@@　大分における建築物の維持保全

平成４年８月　　 　建築物の調査診断講演会、大分県仕上調査診断事業協同組合

著者　平居孝之

 

259　コンクリ－トリフォ－ムの現状と今後の展望

平成４年１２月　　　セメント新聞（コンクリ－トリフォ－ム特集）著者　平居孝之

@@　建築物等の保全技術・技術審査証明報告

平成５年１２月　　日本建築センタ－書「ＧＮス－パ－ピンネット工法」　 　平居孝之ほか７名

 

246　コンクリ－ト構造物の望ましいリフォ－ムのための技術開発と近未来の予測

平成６年８月　 　リフォ－ム、1994、8           p35-37著者　平居孝之

 

@@　コンクリ－ト構造物改修の現状と展望

平成７年６月　建築技術セミナ－、「学識経験者の視点から見たこれからの新築・改修仕上技術への展望」、

日本レフレッシュ工業会全国コンパック工業会主催、著者　平居孝之

 

@@　コンクリ－ト構造物を造る技術と保全する技術

平成７年 ９月 　 ＦＩＮＥＸ（日本建築仕上学会）、Vol.7, No.30, PP21-23　著者　平居孝之

 

43　前出

 

@@　タイル張り用ＧＮスーパーピンネット工法

平成１２年４月　 日本建築センター建築物等の保全技術・技術審査証明報告書,建設大臣認定、pp1-78、

（上村克郎、平居孝之、ほか１５名）

 

@@　大学教育と建築物の維持保全

平成１２年６月　リフリート工業会、第２０回記念総会、　　著者　平居孝之

 

@@　建築物外壁の耐震補強

平成１２年９月　大分地域研究シーズ発表会　―産学官技術交流会―　著者　平居孝之

 

@@  保全する歴史的建造物の選定に関する中間報告

平成１５年４月　歴史的建造物の保全等に関する調査委員会（別府市委託）pp1-20 、（著者　平居孝之、他 １６名）